心の中

私の妊娠経験を書いてます。「初めに」をご一読下さい。

掻把手術当時(千秋⑤)

ありのままです。掻把手術の話です。

朝、通常の診察より1時間前に時間指定されて産院に到着しました。
まだ夏が残った9月中旬の秋晴れでした。
そんなお日柄のなか、数時間後に千秋とは本当にバイバイです。
優しい看護師の方が受付から病室まで案内してくれました。緊張感はありましたが、軽い談笑もしました。

痛いと評判のラミナリア。
痛かったです。この痛みが延々と続くはずがないのは分かっていても、2度とやりたくない。
声を上げずにはいられません、先生も声をかけてくれながら処置してくれてました。
しかし何はともあれ痛い。
確かにラミナリアのときも麻酔して欲しいかもしれません。(そんな感想を見たことがありました)

何より本当に、なんで子供を亡くしておまけにこんな痛い目にあわなきゃいけないんだ?という心境でした。

病室で子宮口が開くまで待ちました。
考えても仕方ないし、考えたくもない。
本を少し読んで、やめて、目をつぶってまた本を読んで。
それを繰り返し、しばらく寝ました。

処置室で、今回手術して頂くのが、初めてお会いした医院長先生でした。優しい言葉をかけていただきました。また妊娠できるように、お腹の中を綺麗にしますからね、と。
そう、また千秋が来れるようにするんだ。

数人の看護師さんにもお世話になりました。
皆さん優しくて、私が「全身麻酔効きにくい人もいるみたいで、途中で起きたら心配です」って笑いながら聞いてみたら、「大丈夫!」と言われました。
その言葉を信じました。

腕が動かないよう筋肉に注射しました。喉が渇いたようになると言われたら、すぐに本当にそうなって不思議だなあ、と思っていたら次は全身麻酔でした。
数を数えてください、って言われたのかな?
いち、に
の、次の瞬間
何かで膣をいじられているような感覚が来て、痛くはなかったけどひたすらびっくりして、看護師さんの大丈夫!は、何だったんだ?!と瞬時に思いながら
「先生、起きてます!」だか「麻酔きいてない!」だか意識あります的なことを大声だしたところで、医院長先生が
「終わりましたよ~」
?!?!
すぐに、赤ちゃんは?赤ちゃんは、どうするんですか!
って確かに聞きました。
これも事前に知識を拵えていたので、検体として胞状奇胎ではないか調べる事は知ってたのに、言ってました。
で、調べるんだよーと説明してもらっている間に車椅子にのせられ、私は全身麻酔の影響でいま話すかとじゃないのに、その日の夜に見た千秋の夢の話を、フニャフニャ言いながら病室に戻りました。
その夢は、寝室で寝ている私の横に、女の子が何人かいて、寝室のドアの近くに何人かの年代がバラバラの男の子が立っていた夢です。

時計を見たら、手術時間は20分でした。
病室のベッドに横にさせてもらって、2時間弱かなあ?寝ていました。
そのあと手術後の内診をするのに婦人科へ行きました。
そこには、私のように妊娠初期の患者さんがいます。特に思うことはなかった。

お会計は産科婦人科共通なので、元気な赤ちゃんやその兄弟姉妹がいます。
元気で何より、です。


連絡するより前に待ってくれていた父と帰宅しました。
さっきまでお腹の中にいた、性別も分からないほど小さすぎて、エコー写真でしか見たことない、かわいい千秋の身体は、検体として提出されたらちゃんと火葬とかしてくれるのかなあ
と思っていました。
今でもその疑問は残ります。